今からでもまだ間に合う!医学部へ合格するために

 

目次

 

1.医学部受験 医学部合格への道
2.医学部の偏差値

国立大学
私立大学

3.今からでも遅くない、社会人からの医学部進学
4.医学部へ行くための勉強、塾、予備校選び
5.医学部へ行くための勉強法
数学
小論文
テーマ
面接

1.医学部受験 医学部合格への道

近年、理科系の高校生の間で医学部進学志向が高まっているそうである。
同じ偏差値であっても、理工学部、経済学部等へ進学した場合、4年後には厳しい就職活動が待っていることを聞かされているからではないかと思う。それはそうだろう。医学部に行けば、どこの医学部でもほぼ90%以上が国家試験に合格し晴れて医師となり、引っ張りだこで就職活動で苦労するということはまずない。
だが、医学部は昔も今も難関であることには変わりない。
甥がこの春、一浪の末早稲田の理工学部に入学した。お祝いの電話で「早稲田の理工に行くのなら、どうして医学部に行かなかったの?」と聞いたところ「早稲田の偏差値は高いけど、3教科に的を絞って勉強すればいいだけだろ。でも医学部受ける奴らっていうのは国語から社会から何から何まで偏差値70以上取ってないと駄目なんだよ。医学部受けるような奴らって最初から違うよ。話してみるとわかる。医学部の数学問題解いてみたけど解けなかった。早稲田の理工の問題なんかよりはるかに難しい。その上小論文,面接まであるから、一体どこまで勉強すればいいんだって、よっぽどのモチベーションを保ち続けないと受からない。私立の理工学部なんて医学部に比べたら楽楽」と言われた。
小学生の頃、近所のそろばん教室に通っていた。5年生6年生が中心だったが、中に小3の女の子が混じっていた。しかもその子が断突でトップだったのである。小2でそろばん検定3級、小3で1級に合格していた。皆が間違った答えをいう中、最後にその子が見事正解を答える。先生もわかっていて最後に当てるのである。その子は県内でも有数の理系専門の高校に行き、国立大学医学部に現役合格した。塾にも行かなければ、家庭教師もつけない、学校のみの勉強だけで合格したそうである。もちろん勉強は小さい頃からずば抜けており、天才少女と呼ばれていた。小学校6年間を通して100点以外はとらなかったそうである。そういう子の集まりが医大生なのだろう、と思った。

2.医学部の偏差値

医学部の偏差値はご存知の通り軒並み高い。
当然東京大学理Ⅲが一番に決まっていると思っていた。しかし違っていたのである。センター試験の成績は東京医科歯科大学の医学部が1位だった。東京大学理Ⅲはセンター試験だけでみると、なんと7位と意外に低いのである。しかしさすがに昔から「上は東大理Ⅲから下は琉球大学まで」と高校教師が口癖のように言っていた東大理Ⅲである。2次試験では偏差値79と他の医学部に追随を許さない圧倒的な難しさである。主な医学部偏差値を紹介しよう。
国立大学
1位 東京大学理Ⅲ79
2位 京都大学医学部77
3位 大阪大学医学部76
4位 東京医科歯科大学医学部74東京医科歯科大学[医医/国/東京]74
5位 名古屋大学医学部74

私立大学
1位 慶応義塾大学74
2位 自治医科大学71
2位 順天堂大学71
4位 東京慈恵医科大学70
5位 大阪医科大学70
他の医大も軒並み難しい。上に書いた「下は琉球大学」の医学部でさえ、偏差値69である。東大の理Ⅰと同じ高さだ。医者になるのがいかに難しいかがわかるだろう。

医学部とはちょっと話が逸れるが、全国で今一番難しい大学がどこかご存知だろうか?
実は東京大学ではないのである。
秋田県の国際教養大学である。就職率100パーセントを誇り、就職先はトヨタ、日産、味の素、三井物産、丸紅、伊藤忠商事、電通など、一流企業ばかりである。
医師は確かに食いっ逸れはない。しかし激務であることは衆知の通りである。36時間連続勤務などよく聞く話である。若い頃ならまだしも、中年になってもそれが続くのだからきつい仕事であることは間違いない。それに神経をすり減らす一時も気の抜けない仕事である。昼食を食べずに働き続けることなどほぼ毎日だと聞く。また人々の忌嫌う生死の境にいつも経ち続ける職業でもある。
それに比べたら一流企業での業務は非常に楽しいものが多い。確かに仕事であるのだからそれなりの厳しさはある。しかし電通に就職した友人に話を聞いてみると、「遊びに行っているような会社」だそうである。商社なども会議なのか座談会なのかわからない、と話す友人もおり、会社に行くのが全く苦ではない、むしろ楽しいと一様に言う。
一流企業は、例えば電通などの様に給料を払いながら、更に留学させてくれる会社も多々ある。もちろんそういう留学生はある一定の成果を求められるため、かなりのプレッシャーもあると聞くが、自費で来ている留学生に比べたら住んでいるところはマンションかホテル、食事も安くて汚い学食ではなく外にある高めのレストランなど、生活を切り詰めての苦学生ではない。中には学費全額負担の上、給料ももちろん払いながら、大学院に進学させてくれるところもある。三井物産に入った友人に聞いてみたところ、来客には「うちの会社のお嬢さん」と言われ紹介されるそうである。蝶よ花よの扱いを受け、ほとんどが社内恋愛の末結婚し、優雅な専業主婦生活を送る、というパターンらしい。
だから大卒者は一流企業を目指すのだ。安定していて収入面でも恵まれている。人並みに結婚し、子供が持て、マイホームやマイカーを持てる。一昔前は中流家庭でもできたこのような生活が、今は一部の優良企業のサラリーマンだけが享受できるものとなってしまったのである。
それゆえ確かに就職率100%は今のご時世、非常に魅力的なのである。
しかし、その後を追ってみると、「やはり医学部」となるのである。
国際教養大学の学生はその4年間のうち1年は必ず海外に留学するなど、豊な国際経験を持っている。TOEIC900点以上などざらである。しかしその身体に染みついてしまったグローバリゼーションは日本企業とはそりが合わないそうで、3年以内に退職する卒業生が約4割もいるらしい。日本企業は新卒至上主義である。辞めてしまったらおしまい、それが日本独特の企業体質である。一転ドロップアウト組の仲間に入ってしまい、他の大学を出た若者同様、次の就職先を探すのに大変な苦労をする。だからだろうか、国際教養大学の学生は、起業する卒業生が多いことでも有名である。また日本に馴染めず再び海外に行く学生も多いそうである。
しかし年金やら健康保険やら老後の生活などを考えたとき、日本にいて普通にサラリーマンをやっている方が良いに決まっているのではないだろうか。
その点、医師は例え同僚や上司と上手く行かなくて辞めたとしても、日本全国で引っ張りだこなのである。どんな理由でも、何回辞めてもである。こんな仕事が他にあるだろうか。
また教師と並び古くから女性がなれる数少ない仕事の一つだったため、産休や育休も3年間と充実しており、また復帰するのも他の企業などと違って、さほど大変ではないそうである。私の知人の女性医師は続けて二人出産し、計6年間仕事を休職した。だが6年後には何事もなかったかのように復帰している。「新薬が増えそれを覚えるのがちょっと大変だった程度」だったそうだ。
一般企業でも上場企業などは産休育休が3年というところが増えているが、3年取る人はまだ稀な存在なのそうだ。3年も休んでしまえばもう会社に自分の居場所はないそうである。3年も休まれれば会社側も違う人材を採用して穴埋めすることを考える。一般企業のトレンドの流れは早い。ほとんどの女性が1年で職場復帰するようである。またマタニティハラスメントも根強い。医師の間でマタニティハラスメントがあるなどと聞いたことがあるだろうか。
大卒で一流企業に就職し寿退社まではいいものの、その後再び働きたいと思った時、スーパーのレジぐらいしか採用されない現実に愕然とする中年女性が多いそうだ。
私の友人でも慶応の法学部を卒業しているのに、コンビニのパートをしている人が実際にいる。
理系の雄が医師であるならば、文系の雄は弁護士だろう。
しかし法学部を出たからと言って、医師並みに国家試験に受かるだろうか?医学部の卒業生の国家試験合格率は平均96%である。医学部に入りさえすれば、ほぼ医者になれると言っても過言ではない。その点弁護士は違う。例え偏差値が高い名門大学の法学部を卒業しても、平均10年は司法試験の勉強をしなければならない。それに苦学の末なったとしても弁護士は腕次第、また一種の客商売である。裁判に負け続けたり、上手くクライアントの要求通りことが進まなかった場合、悪い評判が立ち、閑古鳥が鳴くことになりかねない。
実際、息子に仕送りを受けながら、事務所を維持している、年収200万の弁護士がいることを週刊誌で読んだことがある。
歯科医もまた、一昔前はセレブの代表だった。
しかしもうこれは知っている人が多いと思うが、歯科医が儲からないという話は有名である。大体の歯科医が、夜7時ごろまでやっているが、そうでもしないと人件費、諸経費、また自分が食っていくための収入を確保できないそうである。それでも年収400万行けばいいそうで、歯学部を卒業するためにかかった費用を考えると、割に合わない職業と言える。
しかし歯科医がそうである話はよく聞いても、開業した病院の医師が年収400万円だという話は聞いたことがあるだろうか。
医師の場合、病院勤務の医師で平均1500万から2000万、開業医の場合だと、3000万から場合によっては1億、だそうだ。やはり医師免許はゴールデンライセンス中のゴールデンライセンスなのだ。
また同じ女性進出が早かった職業として、教員が挙げられるが、教師は県採用のため県をまたいで結婚した場合、あれだけ難しい試験に通ったにもかかわらず只の人になってしまう。また別の県で教員採用試験を受け直さなければならない。しかし医師は違う。日本全国医師不足にあえいでおり、三顧の礼でもってどこでも丁重に迎えられる。
やはり、勉強ができる頭に生まれついたのなら、なるのは医師、これではないだろうか。

3.今からでも遅くない、社会人からの医学部進学

現役で国立大学の医学部に合格する学生は相当優秀な頭脳の持ち主である。国立大学医学部の約4割が浪人生の合格者だそうだ。1浪などまだまだ甘い。3浪4浪もざら、中には、9年かかってやっと合格したという人もいるらしい。
昔2浪して医学部合格を果たした人の話を聞いたところ、モチベーションを保ち続けるのが何よりもきつかった、と言っていた。夜中勉強していて、突然何もかもが嫌になり、街中をひたすら3時間ぐらい歩いて帰って来たこともあるそうだ。浪人生は追いつめられる。
それを支えるのは家族の理解であり、愛情であり、励ましではないだろうか。
また医学部は多浪生が当たり前の学部なので、面接時にもそのことについて追及されることはないらしい。医師になれるのであれば、若いときの2年3年など大した犠牲ではないのではないだろうか。
また、最近、脱サラして医学部を目指す人も増えているという。
医師という仕事への憧れを捨てられなかった、家族が病気になって医師になろうと決心した。また、終身雇用が崩れてしまった日本の企業で、高収入を得られる医師の仕事は非常に魅力的だ、という理由からだそうだ。
社会人から転向して医師を目指した場合、面接で「なぜ医師を志したのか」という質問を現役の学生、あるいは浪人生より、かなり執拗にされるらしい。
そのための答えの準備もしておく必要がある。経済的な面を挙げるのはNGである。
「子供ができ命の大切さを知ってから医師を志すようになりました。産婦人科や小児科、救急処置など一番きつい現場に行き、働くことを希望します。」と答えた社会人は見事合格したそうである。
受験勉強は普通の学生でも夜中の2時3時までが当たり前だそうで、浪人生ともなれば、1日12時間以上は勉強するというハードなものだ。会社勤めをしながらではまず無理である。何年か働かなくてもいいように生活資金を蓄えてからの受験勉強を始めるのがいいだろう。その場合、夫を全面的に支えるのは妻になる。妻の理解を得られてこそ、受験勉強に本腰を入れられるというものだ。夫婦間でよく話し合いをした上での医学部受験に踏み切るのが賢明だろう。

4.医学部へ行くための勉強、塾、予備校選び

今の時代、医学部に行くのに独学で合格する生徒はもはや皆無と言っていい。
ほとんどの学生が専門の予備校なり塾なりに行き、医学部受験専門の対策をし、受験勉強をする。
ではどこの予備校、塾が一番医学部受験に長けているのだろうか?

1位 メディカルラボ
メディカルラボは全国の医学部予備校の中で唯一、1対1の完全プライベート指導を実施している予備校である。一人一人の学力や得意不得意、個性を把握し、最も適切な指導を行うため、偏差値が45で入った学生であっても医学部ギリギリの68まで1年間で持って行く指導を徹底的にするそうである。2014年の合格実績は国公立・私立を含めて257名と全学生の80%がいずれかの医学部に合格するのだから、親も入れた甲斐があるというものである。
しかしその授業料は驚くほど高い、浪人生で約500万円、高3生1年間で170万円と、親が医師か相当の金持ちで、どうしても息子(娘)を医者にしたい、という家庭が多いのだろうと想像した。

2位 野田クルゼ
医学部受験に的を絞った予備校であり、40年間の歴史がある。野田クルゼの名前は聞いたことがなくても早稲田ゼミナールなら聞いたことがあるのではないだろうか。その傘下にある、医学部専門の予備校である。高1から浪人生までのクラス設定があり、いずれも一クラス10名ほどの少人数できめ細かい痒いところに手が届くような、指導を行っているらしい。合格実績は国立医学部64名全体数が120人ほどなのでほぼ50%が無事医学部に合格していることになる。私立医大合格は30名である。しかしこれもまた費用は驚くほど高い。成績優秀者には特別価格というものがあり、安くはなっているのだがそれでも1年間125万円である。普通の生徒となったら、250万以上である。それに個別指導、夏冬特別合宿費用、面接特訓指導、小論文指導、などそれぞれ別途費用がかかる。ここもメディカルラボ同様、普通の家庭では通わせられない世界である。

第3位 メビオ
ほとんどの方がご存知ないのではないだろうか。大阪にある全寮制の医歯学部受験専門の予備校である。こちらも少人数制で、一クラス7名以下で医学部の問題傾向に的を絞った指導を徹底的にする。大手予備校の様に講師に生徒が合わせるような古い体質ではもう生徒を呼び込むことはできないのだろうか。2013年度の医学部合格者は95名。1980年創立であり、30年以上の歴史を売りとしている。何人浪人生を1年間引き受けるのかわからないが、この30年間で3321名の生徒中2482人が医学部ないしは歯学部に合格したのだから、ざっと合格率70%と言ったところだろうか。しかし他の医学部専門予備校同様、授業料は非常に高い。浪人生の場合、入学金が30万円、と1件安いように感じる。しかし後は1時間当たりの計算になる。1時間3500円なのだから、某有名家庭教師斡旋会社とさほど変わらない。しかしそれが1日中、ほとんど365日続くのである。調べてみたところ、授業料は浪人生で720万円、高3生で550万だそうだ。上位3以内の予備校の中で一番高い。
昔、筆者が中学生だった頃、塾の講師をしていたのが医大生だった。彼は1浪して国立大学の医学部に入ったのだが、高校生のときの偏差値は45だったそうだ。「俺ね、現役の頃はどこの大学も引っかからなかったんだよ。それが河合塾に入って偏差値が30くらい伸びたわけ。だから○○ちゃんももし浪人することになったら、河合塾をお勧めする。すごくいい予備校だよ。」と言っていたのを思い出す。河合塾も一昔前までは医学部を受験するなら断然「河合塾」と、御三家、駿台、代々木ゼミナールの中では一番に挙げられていた。しかし最近のニュースでもあったように、代々木ゼミナールが軒並み地方の予備校を閉鎖するなど、大手予備校の人気は急降下している。また、最近の子供は講師が教壇に立って一方的に講義をして理解する形式を嫌うという。個別式学習塾が雨後のタケノコのように乱立し始めたのもここ2,3年である。また医学部専門の予備校も共通点は少人数制を取っているか、マンツーマンかという点である。知り合いの予備校講師に聞いたところ、今の学生はメンタルが非常に弱い子が多いそうである。いわゆるガッツと呼ばれるものを持った若者が少ないのだそうだ。わからないところがあっても休み時間に聞きに来ない、予習もしてこなければ復習もしない、だから授業が分からない、わからないからつまらなくなり来なくなる。そしてマンツーマン形式に乗り換える。そういうパターンが多いそうだ。
しかし代々木ゼミナールをはじめとする、大手予備校の授業料は上の3校に比べたらタダ同然に思えるほど安い。大体1年間毎日6時間講義を受けても70万前後である。一人の講師が50人程度の学生を相手にするから、その金額で成り立っているのだろうが、上に挙げた医学部専門の予備校は普通の家庭では通わせるのはまず無理だと言っていい。

 

5.医学部へ行くための勉強法

数学 昔数学専攻だった私は、ある予備校で、大学受験生の相談に乗ったり、わからないところを教えたり、というチューターと呼ばれるアルバイトをしていた。    そこには東京医科歯科大学や慶応大学の医学部の学生などがおり、私がお手上げの問題なんかをよく教えてもらっていた。彼らが言うには「数学は暗記だ」だそうだ。   その頃受験生には非常に有名であった「理解と実践」(もう絶版になってしまったらしい。残念である)という参考書を10回ぐらい暗記するまで、ノートに書き写すのだそうだ。すると一気に数学の偏差値が20は上がる、と言うのである。後はひたすら過去問を解くのみ、と彼らは言っていた。覚えるほど暗記した後、過去問を解いてみると面白いように簡単に解けるそうである。医学部の数学は数学科や理工学部の問題よりも遥かに難しい。センターは基礎的な問題がほとんどだが、問題は2次試験である。4問出す大学がほとんどで、微分積分から2問、確率統計から1問、後は勉強ではどうにもできない、知能指数検査の様な問題が1問出るそうだ。2問とければ合格なため、その知能指数検査の様な問題ははなから捨ててしまうそうである。そして微分積分・確率統計が間違っていないかを、時間終了まで何回も見直すそうである。医学部に合格した学生がよく言っていたのは「満点取ろうとするやつは落ちる」だった。
次に英語である。2次試験に英語を取り入れている医学部は全体の80%にもなる。医師に英語は必須であり、また驚いたことに、まだ医大生でないにもかかわらず医学に関する英単語が頻出するそうである。文法はそれほど難しい問題は出ないそうで、医学部用に英語を勉強するのなら、とにかく単語を徹底的に暗記する、これに尽きるそうだ。センター試験対策では『英単語ターゲット1400』が一番評判がいい。2次試験対策ではZ会で出している『速読英単語・上級編』がお勧めである。アマゾンのレビューを読んでみたが、実際2次試験にここからの単語が頻出した、この本に感謝している、等の感想がずらりと並んでいた。

小論文
国立大学の医学部を目指すなら、小論文は避けて通れない。
昔は違った。まだセンター試験が共通一次と呼ばれていた頃、医学部の二次試験は、数学、理科(共通一次で選択したもの以外)英語だけだった。小論文が医学部の2次試験に取り入れられるようになったのは約10年ほど前からだ。面接や小論文を取り入れたのはなぜだろうか?
ある医学部の大学教授が、生まれもって知能指数の高い幸運な子供は好奇心が強く、あらゆることに興味を示し、視野が広い学生が多い。しかし勉強一辺倒できた学生は一般常識に乏しく、社会性にも乏しく人を思いやる気持ちや倫理観が不足している学生が多い、と言っていたのを思い出した。
この大学教授がそう思ったから、面接や小論文を取り入れた訳ではないだろうが、おそらく全国の医学部で教えている多くの教授陣が同じように感じたのだろう。
ある医学部専門の予備校に問い合わせて聞いたところ、昔の医師と言うのはとにかく街一番の名士、として仰がれ、頭を下げて診察していただく、雲の上の様な存在だった。しかし現在の医師は違う。患者はもちろんその家族への丁寧な説明、他のスタッフとの円滑なコミュニケーション能力、強い忍耐力を要求される。また数学や英語や理科などの学校で勉強する科目以外に、広い見聞を持った人材が医師として求められる。患者の背景、患者のおかれている立場、それまでの個人の歴史等、トータルで考え治療に当たれる医師が求められている時代なのである。その天分を備えた人物か否かを試せるのが、小論文であり、面接である、ということらしい。
理由はともあれ、小論文がないのは帝京大、東京慈恵大、東京女子医科大など、私立の10校ほどの限られた大学のみである。

テーマ
与えられるテーマはほぼ新聞から、と思っていい。
特に朝日新聞からの出題が多いらしい。
社説に目を通すことはもちろん、一面の政治記事から社会面まで時間の許す限り、毎日読んでほしい。
あと社会問題を扱った有名な書籍にも一通り目を通しておく必要がある。
例を挙げると信州大学では『経済教室少子化と人口減少』について感想と、所見、対処法を考え簡潔に述べよ、という問題が出題された。他『高齢者福祉と医療』より終末期医療と生前発効遺言についての所見を述べよ、など一筋縄ではいかない難題が出される。それを600字から800字1時間でまとめ上げなければならない。
実際医学部に合格した医学生のアドヴァイスがあったので、紹介しよう。
「問題を見てすぐ書き始めるのではなく、じっくりと問題文を読み考え、起承転結を考えます。理論の展開に飛躍があってはいけません。また感想的な持論を書きすぎてはいけません。感想文ではないのですから、根拠が必要です。医学科の小論文の場合は、生命倫理をしっかり勉強して書く方が楽だと思います。ヘルシンキ宣言、リスボン宣言、日本医師会倫理網領の内容を簡単に知っておいて下さい。それに基づいた倫理感で答案を書けばまず内容に問題のある記述は避けられます。まぁ、小論文は高3になったら予備校の講座を週1ぐらい受けてみてコツをつかんでみてはどうでしょう。独学では無理です。また添削する人も必要です。」
と文学部以上の難しさである。

面接
面接もまた2次試験において重要である。
まず服装は、現役生の場合は制服を着用、浪人生、社会人の場合は、スーツ、ネクタイにワイシャツが好ましい。
話し方は、目を見て話すのが一般的に良いとされてきたが、実際はじっと眼を見詰められて話されると面接官も落ち着かないものである。したがって眉毛や鼻のあたりを見て話した方が良いという意見もある。また面接中周りをキョロキョロ見渡したりするのは非常に印象を悪くし減点の対象になる。
次にテーマである。
「医学部を志望した理由は?」
必ずされる質問である。医師はお金が儲かるから、社会的地位が高いから、安定しているから、かっこいいから、純粋に学問的に興味があるから、などと答えるのはNGである。また親が医師だからという答えも説得力に欠ける。
自発的な理由を述べるよう心がけよう。
面接官がよく聞くのは「医師になってから何をしたいか?」というビジョンを語ってほしいという事。具体的な分野を述べるのもいい、何科に行ってどんな風な病気を治したい、など具体的に話すと好感をもたれる。あと自身が病気になった時尊敬できる医師と巡り合い、医師を志すようになったなど、一言でいえばあくまでも建て前を言い通すことである。
また、「なぜこの大学の医学部を目指したか」という質問もよくされる。
ここでもあくまでも建て前で通し、間違っても「学閥が強いから」などと答えてはいけない。模範的な答えは、「日本の医学界をリードしてきた大学だから」などと答えるのが望ましい。しかしそう答えると、「では、特にどういった分野でリードしてきたと思いますか?」と込み入って聞かれることもあるので、その場合の答えもちゃんと用意しておくことが必要である。
地方大学の場合、「センター試験の成績がイマイチだったので」「東京の大学を目指すには点数が足りなかったので」などと答えるのはもちろんNGである。
面接官はその辺の事情は百も承知なのである。その上でマイナス的な発言をする学生かどうかを試しているのである。大学自体について好ましい点を言うのが難しければ、その地域を褒める、冗談を交えて特産品に惹かれて、等答えると面接官は社交性もありユーモアも兼ね備えている学生だと、好感を抱く。
通して言えることは、面接官は、思いもよらないところで、突っ込んで質問してくることが多々ある。その時慌てないであくまでも冷静に、理路整然と、できればユーモアも交えるほどの余裕を持って答えることである。医師に求められるのは、どんな時でも冷静に、パニックになることなく、業務を遂行することなのだから、面接はその素養を見る場なのである。自分が医師に向いているということをぜひアピールしよう。
また面接官の中には、意地悪にも「君は多分医師には向いていないと思うよ」などと学生を動揺させたり、頭に来るような発言をする人もいる。
学生に揺さぶりをかけるためである。わざと不愉快な言葉を口にし、反応を見るために言うのである。
これも上と同様、慌てたり、おもむろに頭に来ていることを態度に出したり、最悪のケースとしてキレて面接官に暴言を吐いたり、そうならないように、あくまでも冷静に「そうですか?自分は日本一の医師になれる自信がありますが」とにこやかに答えられるような余裕を見せよう。
次もお決まりのパターンで必ずと言っていいほど聞かれることだが、自分自身の長所についてである。聞かれた場合は臆することなく、また下手に謙虚になることなく堂々と、自分と言う人間の価値を少しでも高く評価してもらえるよう、長所について思いっきり語ろう。過去にその長所が生かされたエピソードなどを交えて話すと尚良い。また短所についても同じように聞かれるが、上にも述べた通り、医師には冷静さと忍耐強さ、強い精神が求められる。「喧嘩っ早い。キレやすい。」等の短所は言わないに越したことはない。
「尊敬する人物は誰か」と言う質問も多い。あらかじめ考えておこう。
また、医師を志す者のための面接であるため、医療に関する質問もされる。「終末医療について」「がん告知はすべきかどうか」「脳死と臓器移植についてどう思うか」等、ほとんどの医学部の面接で一つは聞かれる問題である。感じのいい成績優秀な好青年だけでは医師になるための必要条件を満たさないのである。
面接も小論文同様、事前にかなりの訓練を受けて臨むことが望ましい。
このようにマンツーマンで、何十分もの間緊張に耐えながら適切な答えを選び、面接を受け続けるというのは、一企業の面接より厳しいと筆者は感じた。
面接もよっぽどの人物でない限りは、特別な受験対策が必要であると、先程の医学部専門予備校の代表の方がおっしゃっていた。また普通の高校教師に医学部進学のための面接訓練は無理、ともおっしゃっていた。

医学部に合格するということは、なんと難しいことだろう!ここまで調べて書いてきて、筆者はそう思わずにはいられなかった。
センター試験は90%以上の正解率を求められ、2次試験は数学も英語も理科(物理、生物、化学ともに)総てが難問である。
その上、小論文、面接、と次々と高いハードルを越えなければならない。
そういうハードルを超えた者の集団だから、卒業と同時にほぼすべての学生が国家試験に合格するのだろう、と感じた。
10年前から、取り入れるようになった、小論文と面接。
それまでの医師のあまりのプライドの高さ、時に患者を見下すような態度、頭はいいのかもしれないが、人間的にどうだろう?という医師が多かった時代に比べて、確かに最近の若い医師は温厚で話しやすい人物が多く、また決して上から目線で説明をしたりしない。思いやりもあり、人間的に良くできた人が多いとは感じていた。
それが、10年前からスタートした、このような新しい入試制度が生み出した、新しい医師なのだ。
なるほど、心の中で大きく頷いた。
医師に憧れる人は多い。医療をテーマにしたドラマも多く放映され、視聴率もいい。
医学部受験ならここ!と言われる野田クルゼの代表の方が、一介のライターである筆者の質問に丁寧にわかりやすく答えてくれた。
「確かに医学部限定の予備校はかなりの収入を持った両親のもとに生まれないと通えないでしょう。ですが社会人になり、自分でお金をためることは出来ます。我々は受験のプロです。毎年多くの偏差値50に満たない若者が入塾してきますが、皆1年で偏差値70近くまで上がります。そこが我々の腕の見せ所なんですが、勉強ができなかったから、医学部の数学なんてとても無理、などと諦めないでください。社会人になってやっぱり、と入塾される方も少数ですがいらっしゃいます。見事に国立大の医学部に合格されてますよ」と。
医師の年収を考えれば、元を取るのはわけはない。
脱サラして、医師を目指す、という選択もありなのだ。

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