「障害を持ちながら医学部合格を目指す」

視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、慢性疾患など病弱者にも医師を目指す人たちがいて、出願に際しては受験の際、配慮が必要になりますので大学側と相談してもらっています。

全盲の男性や手足に麻痺症状が残る女性、発達障害などの障害がありながら、医師を目指す人たちを紹介します。

 

 

目次

「障害を持ちながら医学部合格を目指す」

●50歳の視力障害者の男性が医師国家試験に合格
●手足に軽い麻痺がある障害者でも医師になりたい
●発達障害と診断されるも東大に合格

「医学部合格を邪魔する誘惑」
●1人暮らしの誘惑
●医学部受験を控えた思春期の誘惑
●高校時代は誘惑を絶って本気の取り組み

「医学部に合格するために無駄をなくす」
●限られた時間で確実に効果を上げるために
●医学部受験に恋愛は無駄か?
「医学部合格に不必要なものを考える」
●医学部予備校・塾は本当に必要なのか?
●医師増員のためには医学部自体が不必要?!

 

 

 

「障害を持ちながら医学部合格を目指す」

  • 50歳の視力障害者の男性が医師国家試験に合格

全国で2人目となった全盲者で医師国家試験合格者の50歳男性は、臨床研修の受け入れ先がないという事態になりました。

研修の履修診療科が増え、医師として診療行為をするためには2年以上の臨床研修が必要になっています。

男性は東京医科歯科大学在学中に視力が低下し始め、1982年に大学卒業後、数年で全盲になりました。

 

その当時、医師の絶対的欠格条項に視覚障害があり、医師国家試験は受けられず、マッサージ師の資格を取って生計を立てています。

2001年に医師法が改正になり、点字でも医師国家試験が受験できるようになったので、問題集をボランティアに読んでもらい、点字パソコンに打ち込むなどして3度目の挑戦で、医師国家試験に合格しています。

医学部生は全国約1,000ヶ所の臨床研修指定病院と大学附属病院から研修先を選び、選考試験を受けて医師国家試験を受ける前年の秋には内定するのが一般的ですが、男性の場合、昨年秋から探している臨床研修の受け入れ先が見つかりません。

 

全国で初めて全盲で医師国家試験に合格した男性の場合は臨床研修を終え、関西の大学病院に勤務中で、それは当時、履修診療科が内科など一つで済んでいたからでした。

現在は履修診療科が健常者と同様に合計7診療科に増えたため、ハードルが高くなっているのが原因です。

男性は精神科医になるのが夢で、このままでは精神科医になる夢をあきらめなければならないと訴えています。

 

厚生労働省によれば視覚障害者が健常者と同じく7診療科の臨床研修を受けるには無理があり、現在の制度は視覚障害者の履修を想定しておらず、専門家の意見を聞いて見直しすることも必要と回答しています。

医事評論家によれば、医師の仕事には目の不自由な人にはできない分野がありますが、精神科であれば可能ですし、国家試験に合格する基礎的能力のある男性には臨床研修の何らかの例外規定を設けるべきと話しています。

昨年から医学部を卒業し、国家試験に合格した医師は臨床研修制度に定められたカリキュラムに則り、2年間の初期研修を行うことになっており、基本的に全員が対象になります。

 

研修制度が生まれた背景には、医療教育の格差、専門医偏重による基本的スキルの軽視などの問題があったためです。

専門医は自分の専門領域のみを診察し、他の領域の患者は診察しない、つまり狭く深くということですが、これまでの大学教育の多くが専門教育偏重で、広く浅く診察できるジェネラリストは軽視される傾向がありました。

そのため、アクセンシビリティ(どのくらい広汎な人が利用可能であるかの度合い)の低下、複数の診療科にかかる患者のマネジメントが十分にできないなど、患者にとっての不利益が大きくなってきました。

 

こうした問題をうけて改善策として研修制度が作られましたが、複数の診療科をローテーションさせることで能力の均質化を図り、最低限のジェネラルな能力を持つ医師を量産する、平たく言えば医師の品質保証がコンセプトとなっています。

近年の医療政策は医師の免許更新制、定年制の検討など基本的に医師の自由度を以前より限定する方向になっており、少なくとも保険医療は国家予算と医療を受診する側の負担で賄われている以上、医師より国や患者側の意向が優先されるべきという原則があります。

そう考えると50歳の全盲男性は「医療の標準化」には適さず、優秀ではあっても国の方針で定める医師には向いていないことになります。

 

確かに全盲であれば、臨床研修は実際、無理ですし、麻酔科研修や救急部研修には耐えられないでしょうし、患者にも迷惑となります。

ただ、医師国家試験に合格したことで医療行為を行う資格の裏付けはあり、男性が希望する精神科やコンサルティングを始めとした外来業務であれば支障はないのではないかと思われます。

 

「保険医」または「医療機関の事業主」に関わる部分がネックとなりますが、全盲という規格外であっても、それを凌駕する人間性で将来医師として花開く可能性はあります。

量産型の医師ではなく、プロトタイプ(原型)として生きて行く道が開かれるのではないでしょうか?

もし、国が対応の見直しをしないとしても、保険診療外で富裕層相手の精神科専門のかかりつけ医などの道を見つける方法もあると思います。

全盲であることがプライバシーに敏感な顧客にとっては、却って長所となるかも知れません。

 

  • 手足に軽い麻痺がある障害者でも医師になりたい

出産時の病院でのトラブルが原因で、手足に軽い麻痺症状が残っている女性は文系の大学を卒業後、地方公務員として働く26歳です。

安定した仕事に就いていますが、医学部を目指したいと考えており、本当に真剣な思いで医療の現場に立つことでしか、自分の人生はスタートしないと考えています。

26歳から地方公務員として働きながら、国公立大学医学部を受験するにはどのようなスケジュールを組めばよいか、勉強法、生活時間割を知りたいこと、医師法にある障害者の欠格条項を具体的に知りたいこと、医学部生になって年齢や体のハンディなどで覚悟しておく必要があることなどをネット相談で質問しています。

 

医学部生からの回答を紹介します。

国公立大学に志望校を絞るなら、文系出身であることを考慮すると理系科目はセンター試験対策、標準レベルの記述問題の演習に時間を割くのが一番です。

国公立大学の中でもセンター試験の配点が高いところ、センター試験と二次試験の配点が2:1くらいの大学を選んで受験すると、2年くらいの準備期間で合格できる可能性が高いです。

 

ただし、センター試験の失敗は許されず、95%以上は必要です。

勉強法は仕事をしながらであれば、予備校には通えないので市販の教科書とZ会など通信添削講座を併用することになると思います。

欠格条項については手足の軽い麻痺程度であれば、問題ないと思われ、年齢についても医学部は30歳以上の方も少なくないですし、体のことも介助が必要ということではないので、特に気にすることはないということでした。

 

  • 発達障害と診断されるも東大に合格

発達障害とは落ち着きがなく、注意力に欠けるADHD(注意欠陥・多動性障害)、コミュニケーション能力や社会性に劣る自閉症やアスペルガー症候群、又は読み書きに難があるLD(学習障害)などの総称で、生まれつき、または幼児期に脳の発達が損なわれ、様々な症状が現れる脳機能障害のことです。

2006年の厚生労働省の調査によると、5歳児の8.2~9.3%に発生するとされ、近年は成人してから発達障害に気づく「大人の発達障害」が社会問題化しています。

特に有名なのがアスペルガー症候群で、相手の感情やその場の空気を読むことが苦手で、集団の中で周囲に合わせることができず、どんな局面でも人に合わせる能力が問われる現代社会では非常に生きにくいと感じている人たちです。

 

ただ、アスペルガー症候群の人たちはIQが高い傾向があり、一般人の平均が85以上115未満とされますが、アスペルガー症候群の人たちは115以上のIQを示すことが少なくありません。

IQが高い発達障害の人は論理思考が得意な傾向がありますので、東大受験において最重要科目とされる数学を苦にしません。

また、東大英語の特徴として分量が多いので、多くの受験生はアップアップしてしまい、すべての問題を解くことは困難ですが、彼らは反復作業が得意なため、疲れを感じずに解答することができます。

 

国語については他の人の気持ちを理解することが難しいため、非常に苦手なケースが多いですが、東大の国語は物語文の出題がなく、論理思考でカバーできます。

アスペルガー症候群と診断され、東大に入学した女子学生の話を紹介します。

中学生の頃、人の気持ちが分からないということに気づき、自分では仲良しだと思っていた子にべったりし過ぎて避けられてしまいました。

 

考えるとそれまで他人の気持ちが存在するということさえ、認識しておらず、自分はクラスのみんなに嫌われていると思い、うつ症状になりました。

高校に進学後、親の勧めで心療内科に通院を始めましたが、勉強は圧倒的にできて、地元では神童としてチヤホヤされるほどで、一度見たページは忘れない記憶力でさほど苦労せず、東大に合格し、東大の心療内科でアスペルガー症候群と診断されます。

彼女は東大に入って特別視されることがなくなり、処方薬を飲まない日が増え、楽になったということです。

 

東大医学部の学生にはこのような発達障害の人が少なくないという話があります。

発達障害はその症状によって本人が困っていないと、「障害」とは認定されませんので、東大医学部卒で社会的成功を収めていれば、多少、発達障害の症状で周囲が困惑するようなことがあっても、指摘されることはありません。

 

 

「医学部合格を邪魔する誘惑」

  • 1人暮らしの誘惑

高校卒業後に1年間浪人すれば、どこかの私立医学部に合格できると考えていた受験生は、大手予備校に通っていましたが、トップレベルの私立医学部合格を方針にしていたため、殆ど授業についていけませんでした。

また1人暮らしで食生活などが不規則になり、生活リズムが崩れてしまい、結局、どこの医学部にも合格できませんでした。

2浪目のときは1浪のときの反省から学び、失敗の原因となった1人暮らしを止めて全寮制の予備校に通うことにしました。

 

少人数制の授業で分からないところはマンツーマンで生徒が理解できるまで担当講師が指導してくれる受験生活を1年間続けた結果、受験した大学の一次試験に次々に合格し、第一志望の医学部に合格することができました。

この受験生の場合は医学部受験を軽く考えていたことが原因で、誘惑の多い1人暮らしを安易に始め、自分の学力レベルに合わない大手予備校に通っていたので、十分な受験勉強の体制が作れませんでした。

 

自分の学力レベルの底上げのため、マンツーマン指導に特化した予備校で、しかも全寮制にしたことで、受験勉強に集中する環境が自然と作れたのが、良かったようです。

1人暮らしは食生活など健康管理も必要で、息抜きしたいとTVやゲームなど誘惑に負けることも多いので、自己管理が難しい受験生には向いていないと思います。

 

  • 医学部受験を控えた思春期の誘惑

いつから医者を目指すかにもよりますが、受験の準備は早めにしておくに越したことはありません。

医学部合格を目指すなら中学校から学習計画を立てることも必要です。

ただ、思春期はいろいろな精神や身体の変化、クラブ活動や環境の変化、友だちと遊びたいなどさまざまな誘惑があり、受験勉強とは相反する要素が多くなります。

 

学校の授業だけでなく、信頼できる塾や通信教育、模擬試験など今の自分の学力や勉強への取り組み方が正しいのかどうかをチェックできる、何らかのペースメーカーを持っておいた方が効果的です。

一般論としてできるだけ不得意教科を作らず、英語と数学は得意教科にしておくことです。

日々の学習では書店に行けば安くて良い問題集や参考書もあふれるくらい並んでいますので、教育コストをかけずに学習することは可能です。

 

あくまで学校の進度を元に実力に合わせてプラスアルファの学習を着実に積み上げていくことですが、そこまであわてる必要はなく、これから予想される高校生活での負担を減らす工夫をしておきましょう。

それが医学部受験教科で重要な数学、英語を得意科目にしておくということです。

この2つに自信がないと忙しい高校生活で他の教科に集中することができません。

 

理科・社会は小学校時代の知識をある程度定着させておくべきで、歴史は小学校で習ったことを中学・高校で発展させて行きます。

医学部受験教科で社会は決め手にはなりませんが、国公立大学を受験する場合、センター試験対策になりますし、もし医学部から方向転換する場合にも備えられます。

まだ、大学受験と言っても実感がわかないと思いますが、高校時代を少しでもラクに過ごすために、誘惑に負けずにコツコツ取り組んだ結果は違って来ます。

 

  • 高校時代は誘惑を絶って本気の取り組み

高校生になれば自己分析する力を持っており、自分が何をすべきかかなり判断できるレベルになっています。

つまり、誘惑を絶って自分の意志で受験対策に本腰を入れることができます。

医学部に限らず、大学受験対策の基本は過去問をしっかり解くことで、それにより大学ごとに異なる出題傾向を掴むことができます。

 

ある程度の学力がつけばチャレンジし、もっとも難しいと感じた分野の学力強化を図るようにします。

受験前には大手予備校が主催する大学別模擬試験を開催する大学もありますので、短期的な動機づけとしてそれを目標に勉強の準備をするのも良い方法です。

模擬試験を活用することで、出題傾向や時間配分を学び、その結果から合否判定を予想することができます。

 

 

「医学部に合格するために無駄をなくす」

  • 限られた時間で確実に効果を上げるために

多くの医学部受験で合格した人たちは、理想の医師像を心に描き、誰かに言われたのではなく、自分の意志で医学部を目指した生徒で、ひと言で言えば、医師になりたいという気持ちや信念を強く持った人たちです。

現役合格するために受験生は、1年間という短い時間を有効に使う必要があります。

途中で成績が思うように伸びず、スランプに陥ることもありますし、難問にぶつかり挫折して勉強に集中できなくなったり、辛いことも多いと思いますが、そんな自分を励まし、ときには追い込んで頑張れる原動力となるのは「医師になりたい」という強い信念です。

 

医学部合格を目指すなら「絶対医師になる」という強い気持ちをまず持つことです。

医学部受験のきっかけは家庭の事情や保護者のススメでも構いませんが、受験勉強を始めると決めた瞬間からは強い意志を持つことが必要です。

もし、不安に感じているなら、早い段階から志望動機や自己PRなど文章にしてまとめると良いでしょう。

 

推薦入試や私立大学では多くの学校が志望理由を願書などに書かせますが、出願する時期は勉強も追い込みをかける時期のため、しっかり考える時間がなく、試験管に関心を持ってもらえるような志望動機が書けないこともあります。

早い段階から志望動機を文章にすることで、自分の考えや意志がしっかりと固まり、出願間際に慌てて志望理由を書き上げることもなくなると思います。

自分が何のために勉強をするのか、なぜ勉強しなければいけないのかといった目的が明確になることで、勉強の仕方がおのずと変わって来ます。

 

また志望動機書の内容は面接試験の際に質問されることがあります。

受験とは決して人を負かすことではなく、自分に勝つことです。

自分に勝つために必要なものが医師になるという強い信念であり、入試突破の心構えはこのひと言に尽きます。

最終的な目的である医師になるために、医学部合格を果たさなければ、医師としてのスタートは切れません。

 

医学部合格のためには全教科満点を目指すことでも、すべての科目で高得点を取ることでも苦手教科をなくすことでもありません。

得点が高い科目から低い科目まで、すべての得点を合計し、合格最低得点を突破していれば良いわけです。

医学部受験までの時間は限られており、その中ですべての教科で満点を取ることを目標に勉強していたのでは、試験までに間に合わず、不合格になってしまいます。

 

合格最低点を見据え、得意分野や点が取れる部分で得点を稼ぎ、点が伸びない教科やマニアックでも配点が少ない問題は捨てるような戦略も必要です。

受験生にとっては不得意な教科があったり、捨てる問題を作ると不安になりますが、時間をかけて得点が伸びにくい教科の勉強に時間を取られるより、伸びる教科に集中して確実に点を稼ぐ方が効果的です。

無駄なことに時間をかけず、効率良く最短コースで合格を勝ち取れる「合計点主義」を目指すべきです。

 

  • 医学部受験に恋愛は無駄か?

年間合格者数100人という超難関の狭き門である、東京大学理科Ⅲ類に3人の息子を全員現役で合格させた「ゴッドマザー」の異名をとる奈良県の主婦が、ネット上で話題になっています。

3人の息子を難関の私立灘中・高校(神戸市)から東大理Ⅲ類(医学部)に合格させた奈良県在住のSさんは、津田塾大学を卒業後、大分県内の私立高校で2年間、英語教師を務め、弁護士の夫と結婚し、専業主婦として息子の子育てに励みました。

Sさんは著書「受験は母親が9割」(朝日出版刊)の発売記念イベントの場で、精神科医の和田秀樹さんと公開対談をした際、「思春期には恋愛という課題もある」と司会者に問われ、堂々と答えた内容が爆弾発言と注目を浴びました。

 

「受験に恋愛は無駄です。1日は24時間しかなく、女の子とスタバで2~3時間、お茶をするとして年1回なら良いですが、10回あれば30時間です。その時間があれば参考書を1冊終わらせることができますので、恋愛している時間があれば、勉強に当てることを教えるべきです。」と語り、さらに受験には母親が深く関与すべきという持論を展開し始めました。

曰く「勉強のスケジュール管理をし、マルつけをし、間違えたら紙に書いて貼り出し、参考書も一緒に買いに行きます。」「大学受験の時の願書は親が書き、子どもに清書させれば良いです。」「母親の役割は愛情いっぱいにサポートし、合格するまでやること」と言い切り、こうした発言にネット上で賛否両論の声が上がりました。

Sさんは普段ネットを見ない生活をしており、周囲から「大丈夫?」と心配され、自分の発言で炎上していることを知りました。

 

それでもSさんは落ち着いた口ぶりで「考えてみると息子3人が通った灘校は男子校のうえ、自宅から学校まで片道1時間40分かかり、途中で大阪の塾に寄るので、子どもたちは恋愛する時間がないという特殊な環境がありました。それで息子たちは男友達とばかり遊んでいました。」と答えています。

ただ、女友だちについては変わらずブレない持論を展開しています。

 

「男の子と遊ぶのは良いですが、女の子が相手になると家に帰ってきてからも後を引きます。恋愛自体を否定する気はありませんが、1日は24時間しかありませんので、とにかく時間が大事です。起きている間、学校以外の残った時間は恋愛ではなく、勉強に使うしかありません。しかも恋愛は今、しなくてはいけないわけではないですし、医学部受験はそんなに甘くありません。大人になれば人脈やコネが絡む世界ですが、受験は自分の努力や実力がそのまま報われる美しい世界だからこそ、人生を賭けて頑張ることが重要なんです。」

 

予備校の講師顔負けのお言葉ですが、公開対談の発言以外にも「リビングに勉強机を置く」、「カップラーメンやスナック菓子は特別な日に」など母子間でさまざまなルールを定めていると話してくれました。

ただ、親が受験に9割も干渉するようになると、子ども自身が決める力が育たないのではないか?という気がしますが、Sさんはこう答えています。

 

「大学に入ってからは一切、口出ししていませんし、決断は子どもたち自身で行い、相談されたこともありません。大学を卒業して医師免許を取得してからは何をしても良いし、医師にならなくても構いません。よく勘違いされますが、私が全部お膳立てしても、実際に勉強するのは子どもたちです。小学校から私が毎日の予定表を書いて渡していましたが、子どもたちはそれを見て勉強の段取りを学びます。大人が手を貸すと子どもは自分の頭で考えられなくなるというのは間違いで、自分でだんだんと学んでいきます。子どもの自主性を心配し過ぎず、子どもをもっと信じて良いのではないでしょうか?」

 

自分の息子を信じた母親のサポートを素直に信じ、3人とも医学部合格を果たした息子さんもスゴイと思いますが、世間では頭ごなしに押さえつけたり、行く末の見返りを期待して必要以上に子どもに柔順になったり、親子の立場や価値観が揺れ動いている昨今です。

Sさんの教育理論に基づいた後方支援は、自分の息子をよく知る母親ならではの適切的確な指導だったと言えそうです。

 

 

「医学部合格に不必要なものを考える」

  • 医学部予備校・塾は本当に必要なのか?

大学受験塾や予備校に通っていさえすれば、志望校に合格できると考えている人が少なくないですが、通っただけで志望校に合格することはまず不可能です。

大学受験塾や予備校は「ある人には必要」ですが、「ある人には不必要」となり、塾が本当に必要な方とは以下の3点に該当する方です。

 

①3教科(英・社・国)の模試の偏差値が55以下の方

偏差値が55以下の人は基礎学力がついていない状態ですので、大手予備校か大学受験塾に通うことをオススメします。

理由として大学受験において、基礎がしっかり定着しているかどうかが合否の分岐点となるからです。

偏差値60前後のMARCH(明治・青山・立教・中央・法政)なら基礎をしっかりさせ、ある程度演習を積むことで確実に合格点に達することができます。

 

逆に基礎を疎かにしたまま、演習を積んでも合格に届くことはありません。

そのため偏差値が55以下で基礎学力が身についていない状態であれば、基礎学力を高めるために大手予備校・大学受験塾に通うべきです。

 

②1日2時間以上の勉強習慣が持てない方

新しいことを習慣化することは思っている以上に難しいことで、おそらく高校の先生から1日2時間の家庭学習をしなさいと言われたことがあると思いますが、どれだけの方が実践できているでしょうか?

受験生になったからと急に勉強の習慣を改める生徒はあまりいないと思います。

その点、大手予備校や大学受験塾に通えば、少なくとも授業時間や課題の自習時間は勉強することになり、一定の勉強時間を確保できます。

その勉強時間をベースにし、徐々に増やしながら、勉強を習慣化させていけば良いのです。1日2時間以上の勉強習慣が持てない方は勉強を習慣化させるために、大手予備校や大学受験塾に通うべきです。

 

③偏差値60以下の非進学校に通っている方

偏差値60以下の非進学校だと受験情報で不利になる可能性があります。

非進学校だと先生から「正しい勉強法」や「正しい受験情報」が伝えられない場合が多々あり、生徒からの話によれば、「センター試験の国語は漢文まで必ず解く」など大学受験のプロから見ると、合格のために非常に非効率なアドバイスがされているようです。

中には良い先生もいると思いますが、医学部合格に向けて効率的に勉強し、合格するためにも非進学校に通っている方は、大手予備校や大学受験塾に通うことをオススメします。

 

さて、大学受験塾・予備校を必要としない人たちとは一般的に中高一貫の偏差値65以上の進学校の生徒のことで、東京の進学校では塾に通うのは珍しくありませんが、地方の進学校では誰も塾や予備校に通っていないケースがあります。

例えば福岡の久留米大学附設高校では殆ど大学受験塾・予備校に通っておらず、成績が良い生徒は自ら勉強する習慣を持っており、教師たちが受験指導に慣れていたという点が挙げられます。

 

また、大学進学希望者が100%だったため、互いに刺激し合う環境があったことも重要でした。

ただ、浪人については一概に言えず、大学受験塾や予備校はペースメーカーとして機能することがあります。

 

  • 医師増員のためには医学部自体が不必要?!

現役医師からの提言で、医師不足を解消するために医学部定員の増加を検討するより、医学部を廃止する方が有効という大胆な発言があります。

医学部の設備や教員の拡充がままならない中ですぐに医学部の定員を増やすことはできません。

医師国家試験で問われる水準の医学知識は、高卒程度の基礎知識があれば、独学でも習得可能なため、医学部教育は不必要で、医学部を卒業するために必要なものは国家試験程度の知識だけで、それだけが医学部卒業者の品質保証となっています。

 

医師にとって最も重要な実技教育は殆ど行われず、臨床実習の実態は職場見学であり、医学部生でなければできないということはありません。

提案として医師国家試験の受験資格を無制限とし、知識さえあれば誰でも医師になれるようにし、必要な実技は合格後2年間の卒後臨床研修で身につけるようにします。

一見、乱暴な提言ですが、2005年以前の司法試験は学歴無制限の選抜試験で、特に問題はなく、むしろ学校教育を義務化した新司法試験の合格者の達成水準が低くなっているという現実があります。

ただ、人の命を預かる医師という職業に就く人の育成は、しっかりした教育方針の下、時間をかけてもらいたいと思う方が多いのではないでしょうか?