「医学部合格における先見性」

目次

「医学部合格における先見性」
●東大医学部合格に先見性は必要か?
●医学部合格を目指して再受験するには先見性が必要
●入試のあり方を検討する京都大学の先見性

「医学部合格のための編入制度の実際」
●医学部編入は2種類ある
●医学部編入コースの費用総額は100万円超
●30代男性の医学部学士編入合格体験記

「社会人が医学部合格を目指す」
●医学部受験にチャレンジする社会人たち
●コピー機開発研究者から医師を目指す
●子持ちの制作会社社員から医師を目指す
●メディア系会社員から医学部再受験を目指す
●社会人の医学部再受験支援制度

「医学部合格をめぐる今後の展開」
●医学部合格実績は東大合格者数に次ぐ指標
●私立医学部学費値下げによる今後の動向

 

 

「医学部合格における先見性」

  • 東大医学部合格に先見性は必要か?

日本最大級の富裕層限定クラブ「YUCASEE(ゆかし)」の会員には、多くの東大出身者が在籍しています。

日本最難関の大学に合格し、尚且つ富裕層にもなれたという人生における2つの高いハードルをクリアしてきたいわゆる勝ち組の方たちです。

2009年調査によれば、東大の卒業生は全国に15万人で人口比はおよそ0.15%、富裕層は150万人で人口比はおよそ1.15%ですので、計算上、東大卒の富裕層は0.0013%で10万人に1人という稀少さです。

 

そこでゆかしメディア編集部で、東大合格と富裕層になることはどちらの方が大変だったのか、東大出身のゆかし会員50名にアンケートを実施しています。

アンケート内容は「東大に合格する条件は?」、「富裕層になる条件は?」、「東大合格と富裕層(純金融資産1億円以上保有)になることはどちらが大変?」、「そのように考える理由」、「親が財産家など恵まれていないと、富裕層や東大合格もできないと言われることについては?」の5項目の質問です。

その中で東大医学部卒業生が東大に合格する条件と、富裕層になる条件に回答していますので紹介します。

 

1993年の医学部卒業生は、東大に合格する条件は「生まれつきの頭の良さがあるか、そこそこ頭が良くて親が東大受験の環境を整えてくれるかのどちらかが必要だが、理Ⅲに合格するには生まれつき頭の良さがないと無理だと思う」と回答しています。

1989年の医学部卒業生は「しっかり勉強することで、基本的な知識がしっかり理解できていれば、それほど難しくないと思う。重要なのは自分の努力」と答えています。

では富裕層になる条件について、1993年の医学部卒業生は「富裕層になりたいという意志を早くから持つことで、尚且つ努力することと運もとても大事な要素」と回答しています。

 

1989年の医学部卒業生は「自分の努力だけでなく、タイミング・時勢・時間的な運、出会った人との縁、周囲の人たちの影響など環境的な要因が大きい」と答えています。

富裕層になる条件は医学部卒ではありませんが、1956年法学部卒業生がこう答えています。

「一代で富裕層になる条件は、運が一番、努力が二番、三番に先見性」だと。

 

他の学部でも東大に合格する条件は、ひたすら努力すること、それと同時に勉強に専念できる環境や親の価値観が必要と答えています。

一方で富裕層になる条件は運とタイミングで、努力だけではどうしようもない面が、成功の大きな要因を占めると答える人が多く、唯一、本人の資質と言えるのが先見性ではないかと思います。

医学部に限らず、東大に合格するには先見性ではなく、努力、本人の家庭環境があれば可能ということです。

 

  • 医学部合格を目指して再受験するには先見性が必要

2流の私大卒業後、社会人から再受験で医学部に合格した男性が、再受験についての私見を述べていますので紹介します。

 

・医学部受験の高いハードル

医学部再受験に成功する人は○%などというデータがネット上で時折見受けられ、どの程度正確な情報なのかは分かりませんが、確実に言えることは大学入試の中で医学部入試は最難関であるという事実です。

統計的に見ると国公立の最底辺レベルの医学部にようやく入学できた人でも、理系の学生全体からみると上位数%の範囲内の成績を取っていますので、現状では医学部受験が難関であることは間違いなく、医師を目指すのであれば、その範囲内の成績が取れるように、まず学力をつけることから始める必要があります。

 

・医学部再受験はオススメ?

社会人から医学部再受験を終えてみての感想は、やはりかなりギャンブル性があるということです。

医学部に合格するためにはハイレベルな試験を突破することは当然で、その後の面接も突破しなければならず、面接で一発アウトになる再受験生も相当数いるという現実がある中で考えると、運が味方してくれるという要素もあるのではないでしょうか。

一般的な就職活動などと比較すると、医学部再受験では点数の開示もできますし、比較的平等と言えますが、肝心の最終的な合否の判定基準は明らかにされていません。

 

再受験生がマイノリティー的存在であることを考えると、たとえ面接でどんな差別を受け、どんな結果に終わっても文句を言わないという前提で臨むしかないのかも知れません。

また、再受験に成功して医学部に合格できたとしても、医学部生活は6年に及び、必ず医者になれる保証はありません。

6年間の医学部生活できちんと勉強し、実習に参加し、医師国家試験に合格して初めて医師免許を取得できます。

 

その後も2年間の研修医生活がありますので、1人前の医者になるためには、医学部入学後10年ぐらいは必要なので、その間に不測の事態が起きるかも知れません。

例えば大学によりますが、留年というリスクがあり、再受験生は留年率が高いという話も聞きます。

医学部という限られた狭い社会で、うまく対人関係をこなしていくスキルもある程度必要と思われます。

 

医師という仕事は待遇面だけを単純に見れば、高収入ではありますが、労働時間が長く、ワークライフバランスで考えると、それほど良い仕事とは言えないと思います。

命に接する仕事なので、責任は重く、ミスをすれば訴訟のリスクもあります。

最近の医学部の定員増の影響で、これから10年程で医師の需要と供給のバランスは逆転するという試算も出ています。

 

いまから医学部を目指したとしても、1人前の医師になる頃、医師過剰の時代になっていて医師としての能力が一層厳しく求められることになるかも知れません。

先行き不透明な日本社会の現状を考えると、医師の高収入も今後も変わらずに保証されるのか定かではありません。

特にマイナス面を並べましたが、それを補って余りあるプラス面が見出せなければ、医学部再受験はオススメとは言えません。

社会人からの再受験であれば尚のこと、現実をしっかり見つめ、予測されるハンディを背負って行く覚悟が必要ですし、その上で医学部再受験に魅力を感じ、勝算を持てるのであれば、再受験に挑戦して欲しいし、それだけ高い志を医者になって活かして欲しいと思います。

 

・合格可能性を見積もる

受験勉強中に自分と同じ境遇の再受験生のブログをよくチェックしていましたが、少なくとも模試の成績からするとそれなりの実力のある人が多いのですが、合格率で見るとあくまである1年で見た場合、およそ20%程度だということに気づきました。

医学部再受験で成功する人のブログがある一方、削除されたブログもあり、SNSの再受験コミュなどで合格報告は例年10件前後しか見かけないことを考えると、医学部再受験の成功率はかなり低いのではないかと思います。

しかし、医学部再受験を志す以上、多少なりとも受かることを前提に勉強を始めているはずで、絶対的な確信はないとしても、ある程度の希望を持っていて、その結果が20%の合格率であるということは、多くの人たちは再受験の合格可能性の見積もりを誤っているということではないでしょうか。

 

・医学部再受験の失敗はNGだからこそ先見性が必要

高校生の現役受験であれば、がむしゃらに医学部を目指して勉強し、たとえ合格できなくても他の学部に変更することは容易で、選択肢は他にもあると言えます。

しかし、再受験生は医学部がダメだったからと、他の学部に変更することはムリがあり、特に社会人で仕事を辞めて再受験した人たちに失敗は許されません。

旧帝大レベルの理系出身者を除いて、仕事をしながら医学部に再受験できるほどの学力の持ち主がいるとは思えず、一般的な学力の持ち主の場合、学習効率を飛躍的に高めるためには働きながらという環境では難しいです。

 

仕事を辞めた上に医学部再受験に失敗したら、経歴に大きな空白期間が残るだけで、以前のキャリアに戻ることも難しくなります。

今の雇用状況を考えれば、医学部再受験を諦め、再就職を目指すのも厳しいです。

例え毎日10時間勉強し、センター試験で9割取れたと言っても誰かが認めてくれるわけではなく、ただ、計画性や先見性が無かったという評価に終わる可能性もあります。

 

・医学部再受験を目指すなら

医学部に限らず、受験勉強は自分自身を出来る限り客観的に見つめ、不足する能力を伸ばして行く作業であり、自分を客観的に評価できることができるかどうかが、医学部再受験を成功させるために必要な能力だと考えています。

もっと言えば、医学部再受験に成功できるかどうかは最初から決まっていて、それを決めるのは自分の実力をしっかり見積もることができる能力で、自分自身を客観的に評価できる人だけが成功すると言えます。

だからこそ、自己評価は厳しいくらいがちょうど良く、医学部合格を信じる自分になぜそう思うのか、その根拠を掘り下げ、自分なりの自信を持つことが必要です。

 

  • 入試のあり方を検討する京都大学の先見性

3年ほど前から京都大学は入試のあり方を検討中ということでした。

京都大学総長によれば、「専門以外にも広く知識を求め、日本のリーダーになれる人材」を育てるのが京都大学の方針らしく、そのような人材を育成するためには、入試改革が必要ということかも知れません。

また、ips細胞でノーベル賞を受賞した山中教授が、資金不足で研究を断念しかけていたところを、京都大学は研究所と資金を与えたという「先見性」を示しましたが、山中教授自身は神戸大学の出身であり、将来、ノーベル賞を受賞できる才能を持った学生をなぜ京都大学は入学させられなかったのかと考えているのかも知れません。

 

京都大学医学部の合格ラインが異常に高いことは知られており、京都大学物理工学をトップクラスで合格する受験生は、大阪大学や神戸大学医学部に合格できるレベルで、センター模試がA判定でも京都大学医学部にはビリで合格できるかどうかというボーダーラインだったりします。

それまで京都大学医学部の理科は物理、化学、生物の3教科を必須としていましたが、点取り合戦を強化するだけで、本当に賢い受験生を獲得しづらくなるということで、3教科必須の見直しが始まりました。

面接を丁寧にしてはどうかという意見もありますが、受験生が1万人に及ぶのに面接に時間を割くことは現実的な入試改革ではありません。

 

しかも、この10年ほど面接のみのAO入試や得意技だけの一芸入試などを試み、入学後にまったく勉強しなかったり、卒業もできなかったりという例が多かったことが分かっています。

元々、本来の学力や能力を点数化することは難しいのですが、と言って数学や物理の基礎がない学生が入学しても何もできません。

現在、京都大学医学部のセンター入試科目、個別学力検査出題教科共に理科は物理、化学、生物のうち2科目選択に変更されました。

 

 

「医学部合格のための編入制度の実際」

  • 医学部編入は2種類ある

医学部進学を考えているなら、できるだけ早く志望大学を決めて入試の準備を始めた方が良いというのが一般的な考えですが、近年は医学部以外の大学卒業後に就職し、改めて医学部に編入するパターンが増えて来ています。

医学部編入学講座を開講している河合塾KALSの校長によれば、医学部受験に失敗した人が再挑戦するケース、医療系企業勤務から医師を目指すケース、社会経験を経て医師の職業に使命感を抱き、挑戦するケースなど動機はそれぞれで、文系出身者も含まれるそうです。

医学部編入には他の大学や他の学部から医学部に編入する「一般編入」と、4年制以上の大学卒業者を対象とした「学士編入」の2種類があります。

 

そのうち2000年頃から徐々に増加してきた学士編入は、2013年調査で国立大学28校、公立大学1校、私立大学6校で実施され、定員合計が約260人となっています。

その中で一般編入が可能なのは国公立大学3校、私立大学1校で定員合計50人ですから、学士編入の増加が顕著です。

その背景には開かれた大学を目指す社会的な流れがあり、頭でっかちでない医師を育成するという目的があります。

 

医学部は3年次から本格的な医学教育が始まりますので、編入年次は2年次からにして必要な基礎教養をしっかり身につけさせるという大学が増えています。

学士編入の試験科目は一般的には学科試験と面接ですが、書類審査のある大学もあります。

学科試験科目は英語と生物・物理・化学の理科が多いですが、学士編入の試験科目で特徴的なのは生命科学からの出題です。

 

生命科学は大学の教養課程で学び、理系学部出身者が基本的に有利ですが、文系学部出身者でも生物が苦手でなければ、不利とはならないですし、理科の試験科目の少ない大学を選んで対策を十分に行えば、文系学部出身者も合格の可能性はあります。

ただ、試験問題の難易度と合格の難易度は別物で、例えば1次試験の総合問題がマークシート方式の滋賀医科大学は人気が高く、志願倍率は約40倍ですが、試験問題が難しい東京医科歯科大学の志願倍率は7.6倍です。

いずれにしても医学部編入の倍率はおよそ20倍以上と、14年度前期入試の医学部受験倍率5倍と比較すると難易度がはるかに高いことが分かります。

 

学士編入の合格者の3分の1が東京大学や京都大学など旧帝大出身者で、難関大学の卒業生が占めているのが実情ですが、筆記試験勝負であれば、勉強を真面目にやった者が合格します。

短大卒や専門学校卒でも4年制大学に入り直し、その後、4~5年かけて学士編入で医学部に合格した人もいます。

医学部の編入試験は例年5月から12月まで実施され、河合塾KALSでは1年から1年半を準備期間とするコースを開講しています。

 

  • 医学部編入コースの費用総額は100万円超

河合塾KALSの医学部編入学講座は平日夜間や土日授業が中心の通学コースで60万円弱、医学英文法や生命科学、物理・化学などの「基礎」と、医学英語や生命科学、小論文の「完成」に「実践コース」が加わります。

さらに物理や化学の強化コースをプラスすると費用は70万円くらいです。

受験料の負担も大きく、医学部合格のチャンスを広げるため、一般的に5~10校を併願しますので、国立大学ならば1校あたり3万円程度で10校だと30万円、併願校が全国に広がれば、交通費や宿泊費も必要になります。

 

もちろん、医学部合格後は入学金と毎年の学費がかかります。

医学部編入学講座の受講生で、仕事を退職して受験勉強に専念する人がいますが、少なくとも医学部合格の手応えを掴むまでは、仕事を続ける方が安全だと思います。

特に家庭がある方は生活費の面から、家族の理解、支えが一番重要になります。

 

  • 30代男性の医学部学士編入合格体験記

現役受験の際に東大理ⅠにA判定連発というレベルだった男性が、当時は医学部にまったく興味がなく、数年間の会社員生活で考えが変わり、医師を目指すことにしました。

すでに30過ぎのおじさんで、18歳の受験生の中に入って医学部合格を目指すことが滑稽に思え、一般受験ではなく、学士編入試験で行くことにしました。

と言って学士編入試験枠に入れる自信はなく、生来、面接や集団討論が苦手という性格のため、学力試験を通過しても、最終審査で落とされるのではと感じていました。

 

しかし、学士編入試験は大学によって大きく違い、中には学力重視型の大学もあり、要するに求める人材、人物像が大学によって大きく違うことが分かりました。

その中で筑波大学を志望したのは、地元の茨城県の大学であること、学士編入試験のために地元から遠く離れて受験することは、東大理系出身というプライドが許さなかったからです。

学士編入試験は試験日が重ならなければ、何校でも併願可能というのが最大の特徴で、全国行脚をしながら受験活動をしている人もいましたが、男性は近隣の大学に数を絞り、学士編入試験対策をしました。

 

学士編入試験の受験料が1校当たり約3万円、全国を飛び回るための旅費、宿泊費などを含めると1校当たり最低6万円は必要になり、かなり負担が大きくなるためです。

最終的に筑波大学を第1志望、東京医科歯科大学を第2志望、千葉大学を第3志望、群馬大学を第4志望、浜松医科大学を第5志望、弘前大学を第6志望としました。

弘前大学は学士編入枠が20人と多い事、浜松医科大学は学力重視型の試験内容で共に合格の確率が高いと考え、受けるだけ受けて実際に入学するかどうかは合格後に考えることにしました。

 

自宅で勉強しながら、医学部学士編入の予備校として河合塾ライセンススクール(通称KALS)に通い、毎週日曜日に医学英語、生命科学、小論文の講義を受け、同じく学士編入を目指す受験生と共に過ごし、モチベーションを維持・向上させることができました。

KALSに通うことで学士編入試験を実施している大学や試験の難易度など確かな情報を入手でき、医学部入学後の勉強の話、医師国家試験の話も聞けて、医学部生の生活をリアルにイメージすることができたのが収穫でした。

 

結果は第1志望の筑波大学の学士編入5人枠に合格し、約7ヶ月に及ぶ受験生活は終わりました。

過酷な学士編入試験の受験競争に巻き込まれず、一度も不合格を経験せず、受験生活を終えられたことはきっとツキも味方してくれたと謙虚に受け止めました。

 

 

「社会人が医学部合格を目指す」

  • 医学部受験にチャレンジする社会人たち

最近、医学部に挑戦している再受験生に、医療とは全く関連のない仕事をしている社会人が増えています。

医師になりたいと思ったきっかけは人それぞれですが、共通しているのは社会人になって何かの理由で医師という職業に関心を持ち、医師を目指すことになったということです。

現役生や浪人生活を送る医学部受験生には、子ども時代や学生時代に医師に憧れていたという人が多いのと対照的です。

 

実際に医師を目指すには医学部受験を突破し、その後は医学部生としての生活、学生生活を支える経済的負担、そして医師国家試験という高いハードルをひとつひとつ越えて行く必要があります。

しかし、その高いハードルに挑みつつ、それを越えて行く社会人受験生がいますので紹介します。

 

  • コピー機開発研究者から医師を目指す

大学は農学部、大学院の工学系の修士課程を卒業後、メーカーのコピー機開発研究の業務にあたっていた26歳の男性は、山口大学医学部3年次に学士編入して医学生としての生活を送っています。

彼の場合、大学院で発光体や磁性体など材料の研究をしており、基礎研究の応用を考えた時に医療分野があり、医学への関心が高まり、医療系の製品開発の仕事を希望したものの叶わなかったため、医学部を目指す決心をしています。

 

大学院では材料研究を専攻しており、直接的に医学に関係がある分野ではありませんが、医学と関係がない専門分野だからこそ、これまでにない新しいことが医学部分野でできると考えて、医学部受験に臨んだそうです。

仕事を辞めて受験生活を送ることについて、会社の方は激励してくれ、友人からもヤル気をもらった、頑張れと言われ、両親も最後はやりたいようにやれと応援してくれたそうです。

 

  • 子持ちの制作会社社員から医師を目指す

東京大学工学部卒で制作会社会社員だった30歳男性は、子どもが生まれたのをきっかけに医師を目指し、仕事をこなし、子どもの世話もしながら受験勉強を経て、翌年に地方大学の医学部に合格しています。

制作会社ではクリエイティブディレクターとして好きな仕事をし、待遇にも特に不満はなく過ごしていましたが、これまで様々な職種を経験する中で、自分は教師や医者などの職業が向いているのではないかという実感があり、子どもが生まれたことをきっかけに、小児科医になりたいと考えるようになったそうです。

 

また、ネットの取材記事で30代の社会人が医者になったという事例を知って、自分が医師になるリアルなイメージを持てたそうです。

家庭がありながら、仕事を辞めて受験勉強を始めていますが、奥さんの理解もあり、上司や両親にも喜んで受け入れてもらったそうです。

医学部入学後は1年後期の授業料免除も受けられるようになり、医学生として勉強に忙しい毎日を送っています。

 

  • メディア系会社員から医学部再受験を目指す

祖父が亡くなったことをきっかけに医師を目指すことにしたメディア系会社員の男性は、現在は会社勤めを続けながら、医学部受験を目指し、先では会社を辞めて受験生活と医学部生活をネットの内職で乗り切る計画を立てています。

ネット収入が1ヶ月40万円を超えれば、私立大学医学部受験も可能になるという信念で、社会人からの再受験生に新たな選択肢を与えようと、ネット内職の日々をブログに掲載し、一般サラリーマンが再受験にチャレンジする体験記を綴っています。

人生80年時代に入り、子どもの頃に描いた人生の目標や夢は、社会に出てから様々な人たちとの出会いや環境に影響を受け、変わって行くのは自然なことだと思います。

 

  • 社会人の医学部再受験支援制度

全生徒数の3分の1を社会人が占めるという、白金台医進予備校シナプスの社会人支援制度を紹介します。

以前、社会人の学生から、日曜日に一週間分の質問と精神的な面についての相談を多く受けていたことから、社会人受験生の支援の必要性を感じて制度が作られました。

入学する時期によっても多少異なりますが、「授業料の割引」、「時間割の調整」、「最適なカリキュラムの提案」等で支援しています。

 

授業料の割引は入学時期や受講数によりますが、入学金免除と年間10万円の割引、時間割の調整は仕事で遅くなる場合、例えば18時半からの授業を30分遅く始める、通常90分の授業を120分に延長するなどで対応します。

そして受験生の成績や時間の都合、経済的負担の相談など、総合的に判断して最適なカリキュラムを提案しています。

社会人から医学部合格を目指す再受験生へのアドバイスは「自分の弱点を理解して成績を向上させる」、「苦手科目は中学時代の基本から見直す」、「模試を受けて自分の成績を常に明確にする」ということです。

 

 

「医学部合格をめぐる今後の展開」

  • 医学部合格実績は東大合格者数に次ぐ指標

進学校の指標として東大合格者数がありますが、それに次ぐ指標になりつつあるのが、医学部合格実績です。

2015年の入試結果によれば、やはり中高一貫校が強く、開成、桜蔭がトップレベルです。

東大理科Ⅲ類に14名の合格者を出した開成高校は、そのうち10名が現役合格者で、東大合格者数の合計は185名、うち現役合格が120名です。

 

毎年東大合格者ランキングのトップを誇る開成ですが、2013年、2014年と連続して東大合格者数が減少しました。

今年は3年ぶりに東大合格者数が回復し、昨年は既卒の合格者がいなかった東大理科Ⅲ類に4名のOBが合格し、現役生の合格も昨年より2名増えました。

この2年間、現役生、既卒問わず、受験生の安定志向から東大離れが言われましたが、今年は東大回帰を確認する結果となりました。

 

一方、東大理科Ⅲ類に9名の合格者を出した桜蔭高校は、そのうち8名が現役合格者で、東大合格者数の合計は76名、うち現役合格が62名と現役生の合格率が高いです。

この他、東京慈恵医科大学に26名、順天堂大学に19名、慶應義塾大学に15名、東京医科歯科大学に13名、日本医科大学に13名、千葉大学に10名と難関大学の医学部進学者数がトップクラスです。

今後も優秀な医者が、関東の大都市圏に集中する構図は変わりそうにありません。

 

  • 私立医学部学費値下げによる今後の動向

順天堂大学医学部が学費の値下げを断行してから、他の私立医学部も学費値下げを次々に打ち出しました。

私立側としては学費を値下げすることによって、国公立を志望する優秀な医学部受験生の流入を促し、学費の負担によって医師への道を断念することがないよう、門戸を開くことにしたわけですが、実際、学費値下げを行った大学の入試担当者によれば、優秀な学生が増加したと口を揃えています。

国公立を目指していた優秀な医学部受験生が、私立に流入するという潮流は今後も続いていくと見られます。

 

この数年、医学部の定員増により、それまで私立医学部に進学することを余儀なくされていた受験生が、国立医学部に入学できるケースも増えており、私立医学部入学者層のレベル低下が見受けられるようです。

医師国家試験の合格率は受験者が志望大学を決める重要な指標となることから、私立としても優秀な学生をいかに確保するかが、大学を存続させるために重要なポイントになっており、今後も私立医学部は思い切った学費値下げの方向性を維持し、これまで医学部を目標にしていなかった理系の優秀な学生を誘導し、医学部生の質を高めていくものと考えられます。

受験生側にしても、国公立レベルに届かず、学費面で私立を断念していた受験生に医師への道が開かれることになります。